コロナ危機で金融機関が今できること
コロナウィルス騒動に対してアメリカの金融機関の多くはとりあえずの緊急対応、つまり
従業員の安全確保
テレワークへの移行
緊急で重要な顧客サービス
そういった事には既に対応しているケースが多いです。
でも、「緊急対応」を超えてその先のサービスを今行うことで、今後の顧客ロイヤルティを大きく左右することがいくつかあります。
こちらのフォーブスの記事では、2008年のレーマン危機の折は金融機関が悪役とされることが多かった。すなわち過剰なセールスの拡大により、サブプライムの消費者にまで無理な住宅ローンを押し付け、そのあげく破綻すると米国政府の救済金で救われた、ということが一般の米国人には非常に反感を買い、金融機関不信の要素になっています(拡大して言うと、この「金融機関不信」がその後のフィンテックの伸びの理由の一つ)。
それに対して今回はそもそも原因が全く違うため銀行の対応によっては積極的に消費者や企業の顧客が危機を乗り切るのを助ける機会になり得ると言うふうにしています
ちなみにフォーブスの記事ですぐに対応できる対応すべき4つの分野とされているのは以下の4つですが
与信管理
収入減少への準備
顧客サービスとアドバイス
利益マージン低下への対策
このうち、日本にも当てはまり、すぐに対応できるのではないかと思われる部分について書きます。
政府による支援策のプロモート
米国では政府がコロナウィルス対応での大幅な支援策を発表しました。個人に対しては給付金が配布され、企業、特に中小企業に対しては、ローンの保証プログラムによって、従業員の解雇を少しでも止めようとしています(具体的には条件を満たして従業員に給与を払い続けた中小企業にローンの返済免除など)
こういった支援策はもちろん利用するべきで、特にローンの支払いの猶予期間や保証プログラムは金融機関が積極的に関与できる部分です。
一方、こういった支援策が必ずしも一般の特に中小企業の方などにわかりやすくないので、せっかくの補助金を利用できない中小企業も多い。これを金融機関が自分の顧客層に対して、積極的に噛み砕いて説明する、と言う対応は、自行のバランスシートを使わなくても、顧客にとっては非常に有意義なプログラムとなります。
筆者が所属している個人事業主のコンサルタント同業者の会でも、「メインバンクからは、今までローンを借りたことがないので今回の支援が受けられないと言われたがどうしたら良いか」と言う相談がありました。
それに対して他の会員から2つの金融機関の名前が挙がり、この二行では積極的に政府保証のローンを提供するプログラムを行っているというアドバイスがありました。
当然ですがこの2つの銀行は危機が過ぎた後も、今回ローンを提供した中小企業の個人事業主のお客をそのまま新規顧客としてキープできる可能性が非常に強いといえます。
このように、非常時に貸金の提供だけではなくて政府支援策ではあるが、一般の方にはわかりにくいプログラムの積極的な説明等はこの後のロイヤリティーの覚悟の上で非常に有効だといえます。
デジタル・カスタマー支援
従業員と顧客の安全確保のために支店を閉鎖したり営業時間を縮小し、その分オンラインインターネット上ウェブ上やアプリをの使用を進めている金融機関は多いです。
一方、顧客のうち、特に高齢者は今までデジタルツールになじみがなく、急に支店に行かずオンラインで取引しろと言われても戸惑うことも多い。
そこで、行員が手分けして電話で(またはコールセンターで)、サインアップ、ログイン、残高確認などの初歩的な使用法を今まで支店に来ていたお客様向けに即席指導している金融機関もあります。
ここでの1番のポイントは、完全を目指さないことです。ただでさえデジタルを使っていなかったお客様が急にこういった緊急事態で初めてアプリを使うことになるので、全ての機能を使いこなしてもらおうと言うのは無理。そこで最初にログイン・残高の確認をするなど簡単なタスクから支援し、1つでも今まで対面でしていた業務ができればよしとする、などの対応が必要です。
もちろん長期的に見れば、電話でのサポートだけでなく、これを機会に支店で行っていた業務がデジタルやビデオ上に移り、金融機関の社内でも、また対顧客でも、例えばZoom他のビデオ会議などのツールを使って遠隔の対面の機会などが増える事が予想されます。
それについては下記のブログ・またYouTubeビデオでも解説していますのでよろしければご覧ください。
【Zoom】金融機関でのビデオ会議・面談の活用
ブログ記事
YouTube
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